国立感染症研究所が語らないこと

感染症研究所についてまず知るためには既にご紹介したようにそのホームページが拠りどころとなりますが、実はそこに語られていないことが沢山あります。ホームページで沿革について見ると、現在の戸山庁舎にはそれ以前の品川庁舎から一九九二年に移転したことが記されていますが、この移転の際に放射性物質等の危険物を多数旧庁舎に放置したまま、ずさんな移転を行ったことが当時大きな問題となり、テレビ等でも取り上げられました。このことはホームページでは全く触れられていません。そして放射性物質は、移転後の感染症研究所においても取り扱われており、それが所定の場所に置かれていなったために、処分を受けていますが、このこともホームページでは語られていません。

また研究所の排気が高性能のフィルターを通してとはいえ常時研究棟外の隣接住宅地、早稲田大学文学部との境界地域に排出されていること、耐震強度を確認していないこと、菌をどのようにどれだけ保有・保管しているか、といったことがらです。昨今バイオテロの危険性が増大しているといっていい情況ですが、そのような現代だからこそ、このような研究所が必要である、というのは頷けるにしても、その立地条件が全く考慮されていないのは許されることなのでしょうか。感染研は周辺住民からの度重なる要請にもかかわらず全く環境影響調査を行っていないのです。

感染研の庁舎は阪神淡路大震災以前に建てられていますが、一九九六年に定められた新しい建設省耐震基準を満たす耐震強度があるかの確認を行っていません。このような状態にある研究所がそこで研究業務に携わる職員にとっても安全な環境と言えるのでしょうか。これらの懸念について上記裁判は十六年の長きにわたって争われたのですが、もちろんそのことについて感染研のホームページは何も語っていません。

arrow_orangeもし大地震の結果により現在の感染研が今の場所で事故を起こしたらどうなるでしょうか?